日本と世界各国の取り組み

世界の食品ロス削減に向けて日本や世界の各国では、様々な取り組みが行われています。私たち消費者一人ひとりが、食品ロスに関心を持ち、地球の食料問題に目を向けて食品ロスの改善をするための選択をしていくことが大量生産・大量消費のサイクルを変えて、世界の食品流通を変えることに繋がります。

 

日本の食品流通

日本の食品流通業界では「3分の1ルール」と言われる商習慣があります。下記の図は賞味期限を6ヶ月とした場合の3分の1ルールのイメージです。製造日から賞味期限までの合計日数の3分の1までを納品期限(賞味期限6ヶ月の場合製造から2ヶ月)とし、3分の2まで経過した日数が販売期限(賞味期限6ヶ月の場合製造から4ヶ月)となるルールです。

 

 

食品メーカーや卸売業者、小売店の間で決められたルールで、賞味期限をある程度残した状態で店頭に陳列し、消費者に新鮮な食品を届けることができます。しかし納品期限、販売期限それぞれ1日でも過ぎると返品され、その内多くは廃棄されてしまうため食品ロスを大量に生み出す原因ともなっています。海外では、納品期限までの期間が、『米国は「2分の1」、欧州は「3分の2」が一般的』※1とされており、日本は特に短いようです。日本では食品ロス削減に向けて「3分の1ルール」から「2分の1」へ納品期限の緩和を進める動きが高まっており大手企業やスーパーでも取り組みを始めるところが出てきました。農林水産省のサイトでは、食品ロス削減に向けた商習慣見直しに取り組む事業者の公表※2をしています。

 

※1【引用】2018年10月1日「賞味期限の「3分の1ルール」見直して減らす食品ロス」朝日デジタルより
※2「食品ロス削減に向けた商習慣見直しに取り組む事業者の公表」(農林水産省)https://www.maff.go.jp/j/press/shokusan/kankyoi/201030.html

余っている食品を必要な人へ

『フードバンク』と『フードドライブ』という言葉をご存知でしょうか?日本ではあまり聞き慣れない言葉かもしれません。まだ食べられるのに廃棄されてしまう食品を食べ物が必要な人へ届ける活動が、世界各地で行われています。

 

フードバンクとは!?

フードバンクとは、規格外や梱包印字ミス、過剰生産など様々な理由で廃棄されてしまう食品を企業やスーパー、農家などから寄付を募り福祉団体や施設など食べ物に困っている人へ届ける活動・団体のことです。フードバンクの発祥は、1960年代のアメリカで現在も盛んに行われています。日本では、2000年以降フードバンク団体が設立されました。農林水産省のデータによると現在136団体(2021年4月時点)※3がフードバンク団体として活動をしています。消費者庁の調査では、フードバンクを「知っている」と答えた人は4割程度にとどまっており※4まだまだ日本では認知度が低い現状にあります。日本でフードバンク活動を広げていくためには、フードバンク団体の人員不足や設備不足などを解消していくことが今後の課題となっています。

 

フードドライブとは!?

フードドライブとは、家庭で余っている食べ物をフードドライブを実施しているスーパーや学校などに持ち寄り、集められた食べ物は地域の自治体やNPO法人などを通じて地域の福祉団体、施設へ寄付をする活動のことです。寄付をすることのできる食品には、未開封であることや賞味期限が1ヶ月以上あるものなど各団体によって決まりがあるので注意が必要です。誰でも気軽に参加することができ、家庭での食品ロスを削減しながら食べ物が必要な方へ届けることができます。国や自治体でも積極的にフードドライブ活動への参加を呼びかけており各自治体のHPで実施場所や概要を知ることができます。

 

※3【出典】「フードバンク活動団体一覧(令和3年4月20日時点)」(農林水産省)https://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syoku_loss/foodbank.html
※4【出典】「平成 30 年度 消費者の意識に関する調査 結果報告書」(消費者庁)https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/information/food_loss/efforts/pdf/effort_190412_0003.pdf

世界各国での取り組み

食品廃棄禁止法(フランス)

 

フランスでは、世界でいち早く2016年に「食品廃棄禁止法」という法律が施行されました。店舗面積400平方メートル以上の大型のスーパーマーケットを対象に賞味期限切れなどで売れ残った食料の廃棄を禁止し慈善団体やフードバンク等へ食品の寄付または飼料化や肥料へ転用することが義務付けられています。

 

【参考】「COLUMN8 フランスにおける食品ロス削減の取組(消費者庁)https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/white_paper/2020/white_paper_column_08.html

ドギーバッグ(アメリカ)

 

ドギーバッグ(doggy bag)とは、レストランなどで外食をする際に食べ残した料理を持ち帰るための容器や袋のことをさします。日本ではあまり馴染みがありませんがアメリカでは一般的です。近年は、ドギーバッグとは言わず『box』『to-go box』と呼ばれることが多くなってきているようです。日本でも食べ残しを持ち帰る食文化を広げようとドギーバッグの普及に向けた取り組みが行われています。

 

コンポスト(生ゴミを堆肥へ)

コンポストとは、英語で『conpost』:堆肥という意味です。堆肥とは簡単にいうと有機物を微生物によって完全に分解させた土壌改良に良い肥料のことです。家庭で出る生ゴミを堆肥化し自然に返すことで、生ゴミを減らすことができます。家庭で生ゴミを堆肥化する際には、コンポスターと呼ばれる容器や生ゴミ処理機が使用されています。(生ゴミ処理機もコンポスターの1種とする場合もあります。)家庭での生ゴミの量を減らしリサイクルに取り組むことができます。日本の各市町村では、生ゴミの堆肥化を広げ、廃棄物削減を目指し助成金制度を行うところも増えています。

 

私たちにできること

 

人が生きていくために欠かせない「食」。私たちが日々食べている食べ物は、植物や動物など「すべて地球で生み出された命」です。食品ロスを人類が増やし続けることは、地球の生命・土や水など地球のエネルギー資源を無駄にし続けていることと同じです。食品ロスを削減し改善をしていくことは、地球に住む一人ひとりの意識にかかっています。私たちの毎日の選択や行動と積み重ねが、消費者全体の意識を変えることにつながり社会の食習慣やすべての人が飢えることなく十分にお腹を満たすことができ、地球の自然や生命と人類が共存していくことのできるシステムを作っていくことにつながります。私たちが今できることから取り組み、食品ロスついてもっとたくさんの人に伝えていこう!

 

 

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